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植物体内の水を「見える化」

3 分· ·
研究開発 技術開発 研究 可視化技術 中性子イメージング 水分移動
Uzuki-lab
著者
Uzuki-lab
栽培施設学・植物生体情報センシング・DIYスマート農業。先端技術で持続可能な農業の未来を創造し、漫画deブログで発信中。
目次

植物に必要な水、でもありふれていて見えにくい
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植物の体の90%以上は水で満たされています。この水は、私たちにとっての血液のように、栄養素を全身に運び、生命を維持するための重要な役割を担っています。だからこそ、そのダイナミックな動きをこの目で見てみたい。しかし、水は透明で、あまりにもありふれているため、植物の中をどのように流れているのか、その動きを捉えることはできません。


植物体内の水の動きを「見える化」
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私たちの研究室では、この目には見えない「植物の水の動き」を捉えるために、植物体内の水の動きを「見える化」する最先端の技術を開発しています。まるで植物の体内をレントゲン撮影するかのように、植物を傷つけることなく、リアルタイムで水の流れを捉えることができるのです。

可視化技術の核心
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この画期的な技術の核心にあるのは、「冷中性子イメージング」や「近赤外イメージング」と呼ばれる特殊な撮影方法と、水の仲間である「重水(D₂O)」というトレーサーです。

説明
中性子イメージングと重錘トレーサで水の流れを可視化

私たちは、この重水を植物の根から与え、それが茎や葉へと移動していく様子を、時間の経過とともに高精度で追跡・可視化することに成功しました。

何が見えるのか
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この技術を使えば、例えば:

  • 根から吸い上げられた水が茎の中をどんなスピードで移動しているか
  • 水がどの経路を通って運ばれているか
  • 水が足りなくなった時に植物の体内でどんな変化が起きているか

これらを目に見える形で具体的に把握できます。


スマート農業への応用
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この「植物に欠かせない水を観る技術」は、これからの農業を大きく変える可能性を秘めています。

期待される応用分野
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  • 早期生体情報診断: 圃場レベルでの迅速な診断
  • 精密灌漑制御: 必要な時に必要な量だけ水を供給
  • 品種改良: 乾燥に強い新しい品種の開発支援
  • 基礎研究: 植物の水利用メカニズムの解明

技術的特徴
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  • 非破壊測定: 植物を傷つけることなく測定
  • リアルタイム: 時間変化を連続的に観察
  • 高精度: 微細な水分移動も検出可能
  • 定量的: 数値データとして水分量を測定

研究の意義
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この技術が確立されれば、植物が本当に必要とする水の量を、リアルタイムかつ正確に把握できるようになります。これにより、水や肥料の無駄をなくす「精密農業」の実現が可能となり、持続可能で効率的な農業生産システムの構築に大きく貢献できると考えています。

作物の品質と収量を最大化しながら、水資源の保全や環境負荷の軽減を同時に実現し、世界の食料問題や環境問題の解決に繋がる重要な一歩となります。


関連情報
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